卒業生の永島千裕さんの個展(トーキョーワンダーサイト本郷)に行ってきました。


もこもこの「ひつじファッション(!?)」の永島さんと。

初日だったので、ギャラリートークやオープニングパーティが行われていて、たくさんの人で込み合っている感じ。
会場は3部屋あって、3人の作家がそれぞれの部屋で作品を展示している。永島さんは2Fの展示室で一番広い。

ふと「せんせい!」の声が。永島さんの声じゃないし(向こうで誰かにビールを注いでいるのが見えるし・・・)、「先生」がいっぱいいそうな場だったので、なんとなく「俺のことじゃないよな・・・」と思いながらも声のする方を見てみると、これまた卒業生の川畔さんが。その隣には日本画からメディアアートに分野変更した卒業生、坊野君が。
「あれっ?!」(・・・えーと、ここは東京だよな!?) 「こんなところで会うなんて。ねー。」
川畔さんはたまたま美術展見学で東京滞在中、坊野君は現在東京在住で活動中、とのこと。
2人とも、この油画研究室サイトの情報で「永島千裕展」をチェックして観に来たのだそうだ。活用されてるね!嬉しいね!


嵯峨芸4人衆で記念撮影。撮影はコレクターのK夫人。


ギャラリートークには参加できなかったのだけれど、そのときの様子を聞くと、某評論家と某コレクターの激論があってちょっと嫌な空気になっていたとか。永島の作品は単なるイラストだから飾る価値も必要もない、みたいな評論家の発言が発端だったらしい。それから場(というかその2人)がエキサイトして、予定時間を大幅に超えてのトークになったそうだ。

つまらない話してるなぁ。

でもまあ、場が盛り上がるような話ってのは、たいてい、本質に迫ることよりも枝葉の部分や周辺のあれこれの話が多い。
永島さんの作品がイラストと呼ばれる作品群と表面的なテイストの点で共通するものがあるということは、一目見れば誰でも気付くことだし、本人もその辺は十分自覚・意識してとっくに整理がついていることなので、本人にしてみれば「なにをいまさら」な感じだろう。作品の本質からは程遠い部分での騒がしさといったところではないか。ご本尊を拝む前に門構えでひっかっかってしまっているようなものだろう。

永島作品は、一言で言って「きもちわるい」ものだ。
それは描かれている形や表情が、爛れていたり崩れていたりという病的な歪みを持っているからではない。
気がつかないうちに化膿していく腫れ物を抱えてるときの、治りかけの擦り傷のジュクジュクしたところを触らずにいられないときの気持ちの、すわりの悪い落ち着かなさ、何かに突き動かされそうな衝動にうまく反応できないときの、あのきもちわるさ。それがいい。
それが、いわゆるイラスト風の明快な描写と色彩や繊細な線が、効果的なコントラストとなって表現されている。もし、ごてごてと盛り上げるような油彩技法で描かれていたら、古臭い陰湿な気持ち悪さが強く出てしまっているかもしれない。
そういう意味では、あのイラスト風の表現手法は重要な意味を持つともいえる。
「イラスト風だからだめ!」じゃ、話になんないよなぁ。

08/10/29