研究室スタッフ紹介

宇野和幸
宇野 和幸  uno kazuyuki
  • 「気配としての実在」を具現化すること、「ズレが産み出す実感」の違和感を炙り出すこと

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投稿された月 December 2009

「Landscape of Fragment」 ギャラリー睦 個展



Landscape of Fragment

断片の風景。 直訳すればそうなるのだろう言葉を今回の個展のタイトルとした。

一部分だけしか見えない絵画を目の前にした時、あるいは目にしている作品がそれの全体像ではなく、さらに広がる画面の一部なのだと気付いたとき、絵画の全容は観るもののイメージによって無限の可能性をもって広がっていく。
この展覧会では、それを積極的に取り込んだ制作・展示を行っている。

通常は会場壁面の中心に展示されるはずの作品は、ここでは壁面の隅に、天井の縁に、床に、ぴったりと寄せて展示されている。
展示空間の中で実際に見えている画面がその作品の全体ではなく、壁の奥に、天井の上まで、床の下へ、それぞれ続きがあるかのように感じて観てもらえるだろうか。見えていない、その奥の隠された(埋め込まれた)画面を、それを含めた絵画全体をイメージしてもらえるだろうか。壁の奥に続いてあるだろう絵を、天井のずっと上まで、床下のフロアまで続いている絵の一部をこの場で見ている、吹き抜けの空間をフレーム越しに眺めるような中空に居るような浮遊感を感じてもらえたら・・・。

その時には絵画は観る人の想像力に支えられながら、イメージも、スケールも、その度ごとに変化しながら新しい感覚を呼び起こしてくれるだろう。そして、展示の土台でしかなかった強固な不動の部屋の壁が、緩やかな浸透性を持った表皮のような可変の仕切りに感じられてくるのではないだろうか。壁の表面が波打ち際の揺らぎにも似た流動性・柔軟性を持って、部屋の空間が微妙に異質のものへと変化していく。

部分のみによる展示で作品は、絵画は成り立つだろうか。
そんな事を考えながら制作をはじめたような気がするが、壁を少しだけ操作して空間を作り変える、徐々にそういうことに意識の中心が向かっていたように思う。

そんな展示空間を私自身が一番楽しんでいるのかもしれない。

2009年9月





展示風景。ギャラリーは3つのブロックに別れている。








絵画の部分を見る。
実は画集などでは解説の為の部分拡大図を見慣れているし、自分自身の作品でも仮に立てかけて重ね置きした作品や、折れ曲がった雑誌の写真、画像編集中のコンピューター画面など、そういう場面には実はかなり多く接している。

作品のあり方としてそれがすごく気になりだしたのは、コラボレーションの作品を再展示した時のふとした思い付きがきっかけだった。
それは、平面作品(和紙)を展示した壁面全体にテーピングによるインスタレーションを施すといった作品だった。
展覧会終了後には平面作品上のテーピングは(はがれないので)そのまま残るが、展示期間中にはあった壁に直接貼られた部分のテープが無い状態になる。壁全体から和紙部分だけ・壁の一部を切り取ったような事になる。
再展示の際には、全体を再現しようと思っても、壁に直接作業されたテーピング(ドローイング)はもう無い。
だから、その切り取った壁を別の壁に移植するような、不思議な感覚を抱えた展示になる。
だったらいっそのことその部分は無いまんま、見えない部分は壁の中に埋まってしまっている事にしよう。そんな思い付きだった。
たまたま展示作業日に会場に行く事が出来ずに、展示の指示書だけを他人にゆだねたのも幸いしたのだろう。(ちゃんとに額縁がついた絵の隣りにそんな展示をしてしまう気まずさを、まったく意識せずに済んだ。)
















部分としての絵を描く。
この制作は意外なほど苦しんだ。実際に巨大な絵を制作して、その一部をトリミングして展示するのではなく、「部分として全体を制作する」のがこんなに大変だとは思わなかった。
要は構図の悪い絵を描くと言う事になるのだから。
しかもただバランスが悪い、いわゆるコンポジションのアンバランスさではなく、すてきな全体を感じさせる部分を、全体図として制作する。
まともな一作品を構想してから、その部分を描くのではどうしても単なる部分になってしまう。
それがなんとも、むずがゆい、難しい仕事だった。



オープニングパーティ。ここのギャラリーのオープニングパーティは豪華なんですよ(^^)v
遠くからもたくさんの方が来てくれました。ありがとうございました。

そういえば、会えなかったけど卒業生の奥本君も、遠くから来てくれました。ありがとう!

パーティーの合間にギャラリーの前庭に出てみると・・・

なんということでしょう!といった感じの、きれいな夕焼け空。


今回の特別出品作品。息子の夏休みの工作。
・・・・・・・実はこれが一番評判が良かった。
09/12/03

アートカクテルin笠間 ギャラリー桜

今回のアートカクテルでは、駅前の陶芸ギャラリー「ギャラリー桜」さんで展示させていただいた。


普段は陶器の展覧会ばかりなので、棚やテーブルに作品が置かれるのだが、今回は平面作品なので壁を中心に展示される。
せっかくなので、オーナーのイメージで陶器の作品を選んでもらってコラボレーション展示。
後半は陶芸作品を入れ替えて、急須作家の作品が並んだ。



オーナーの寺崎さんには、おいしいご飯、焼酎、デザート・・・・、たくさんご馳走になりました。
皆さんとても優しく、良くしてくれて・・・。
笠間を訪れた人たちが、ほとんどみんな「良い街だった!」「また行きたい!」と言うのは、笠間の人たちの温かさに触れているからなんだな。それがよくわかった。


学生たちの展示する店舗のすぐ隣の「常陽銀行」のウィンドウにも展示。
交差点に面した場所で、夜はライトアップされる。
09/12/02

Art Coctail in笠間 2009

大学院の応用プロジェクトと宇野ゼミ有志で参加した「アートカクテルin笠間2009」レポートです。
会場は茨城県笠間市、街が展覧会会場です。

この土地の観光のメインである笠間稲荷近く、笠間日動美術館のすぐそばにある空き店舗で、「SAGA ART PROJECT」として作品展示&アートグッズショップを展開しました。

テーマは「アートと癒し」。
解釈の多様性というか、いろんなところであまりにも都合よく勝手に使われている「癒し」という言葉に辟易としつつ、あえて「アートによる癒しは可能か?」という隠れテーマで臨んだ企画でした。

ここは何年か前まで中華料理屋として営業されていたらしい。
シャッターをすべてオープンにすると、ガラス張りで開放感のある明るい空間となる。
店舗部分のど真ん中に大きなカウンター。それをそのまま展示台として利用する。

店舗付き住宅なので、奥に和室3室、台所、2階にも和室2部屋+サンルーム(もどき)と、結構な広さがある。今回のプロジェクトでは店舗部分・店舗よりの和室1部屋・2Fサンルームもどきの部屋を使用することにした。

会場となる空き店舗を、床・窓・天井・畳・階段・廊下・カウンター・調理場まで徹底的に掃除。


掃除職人!?小田さん &吉井さん(卒業生)


展示店舗 <SAGA ART PROJECT>外観。
観光デザイン大学院・浦さんの写真作品がウィンドウ越しに見える。
これが結構、眼を惹くアイテムとなり、店舗の注目度は高かった!




店舗内の様子。


今回特別出品のイチハラヒロコ先生。「恋みくじ」
京都国立近代美術館か笠間のこの店舗でしかお目にかかれない(?)貴重な作品体験!


小田さん(大学院1回生)の作品。土下座人形カプセルが出てくる。1回¥100・レアアイテムあり(^_^)
その後、大学で油画研究室前に設置されていました。
(学園祭で完売したようで、今は撤去され、第2弾の準備中らしい・・・)


奥の住居部分。手前は寺島さん(4回生)の作品。奥は平山さん(大学院1回生)の作品。
平山さんの作品、座敷童を見てしまったような、ちょっとハッとする展示でした。
この空間や雰囲気と妙なマッチング。


加納君(大学院2回生)の作品は、2Fのサンルームもどきのスペースに。


松田さん(4回生)の作品。


林さん(卒業生)の作品。


吉井さん(卒業生)の作品。売れ行き抜群。
自画像が埋め込まれた「いちご」が人気でした。


寺島さん、松田さんによる鉛筆画のCDジャケット。
もちろん音楽入り。彼女たちの演奏ではありませんが。興味のある方は嵐山のカフェむすびにお問い合わせを。¥1,000です。
実はむすびのスタッフの方が、アートカクテルに興味を持ってくれてその場でリクルートに電話をしてくれました。
おかげで、じゃらんに紹介記事を載せていただくことができました。
ありがとうございました!


山下君(卒業生)の作品。小さい版画は1枚¥500で販売。


岡本君(大学院1回生)の作品。ジャッドのような作品にキュートなシールが。


本来は日本画を制作している、門前さん(大学院2回生)の作品。


劉さん(大学院1回生)の作品。


フィギュアの世界で活躍している平井君(卒業生)の作品。


オープニングパーティで挨拶に立つ金澤さん(卒業生)。
この展覧会には駅前のカフェで映像作品を展示しました。
ちょこちょこテレビにも出る人で、NHKデジスタの他、スマスマやベビスマで作品や制作過程などが紹介されました。


学生代表でご挨拶、小田さん。

アートカクテルのレポートをしてくれたブログを発見!
学生たちの作品にもコメントしてくれてます!
http://fishinjapan.blog8.fc2.com/blog-entry-966.html


09/12/02


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